「コロナ」にも負けず
新型コロナウイルスにより皆様の生活に多大な影響を及ぼしておられるのではないかと心配しております。弊社サービスも一部、自粛のご協力をいただいておりご不便をおかけしております。一刻も早くこの不安が取り除かれる日が訪れることを祈念しております。
コロナ戦争とまで言われるこの一大事。いま私たちが考えなくてはいけないのは何なのでしょう。
この新型コロナウイルスは生物*1として非常に優秀で、それほど強い毒性を持たず知らず知らずのうちに人の体の中で増殖を繰り返し、あっという間に世界中に広めることに成功しました。成功とは不謹慎な言い方ですが、この地球上に存在する何らかの生物と思えば優秀であることは間違いないでしょう。地球上には様々な生物が存在するのだけれど、その頂点に立つ人間はあらゆる生物体系をコントロールしてきたので、この度コントロールしきれなかった新型コロナウイルスに慌てふためいてしまったのではないでしょうか。あらためて思うことはやはり人間はこの地球に生かされているということ。人間が強いかウイルスが強いか、それを戦争と称して闘うことを否定はしませんが、そもそもは地球という環境の中に、私たちが存在させてもらっているということを忘れてはならない気がします。いま、このウイルスによって私たちは思いがけない苦境を強いられています。外出自粛、3密の回避等、これまで経験をしたことのないような境遇ですよね。そんなとき私たちはしばしば、不安なことや不満なことばかりに目が行きがちで、自分は不幸な人間であるという錯覚にまで陥ることだってあります。そんな時僕はある本を思い出すのです。それは「顔ニモマケズ:水野敬也 (著)」です。水野さんが、醜形恐怖という外見への執着に悩まされていた経験から、見た目に傷やアザなどの症状を持つ方たちにインタビューし、問題をどのように克服していったかを学んでいったことを書籍としたものです。登場人物の中島勅人さん、リンパ管腫という左右非対称の顔面を持った方はこう述べられています。
「私はこの症状を完全に受け入れたわけではありません。今でも『どうして自分の顔は左右対称じゃないんだろう』と思うことはあります。でも、ベストコンディションではない状態で、それでも何とか前に進んでいく。すると、いつの間にか進むことに夢中になっていて、顔の問題が消えていることに気付くのです」
また、マラソンという夢中になれるものと出会えた中島さんは東京マラソンに参加した際、次のようにおっしゃられます。
「ベストコンディションではない状況を『与えられた環境』ととらえる。走り続けるために必要なことは、その時その時を受け入れるしか術がなく、どう受け入れようかを考える過程で夢中になってゆく。環境のせいにして、自分で負けたレースを積み重ねて気づいたこと。根性も、気合もいらない。素直に走るだけ」
人は見た目の印象が8割にも及ぶとまで言われていて、見た目にインパクトのある中島さんは子供のころから深く傷つきながらの人生ではあったけれど、もマラソンという夢中になれるものと出会い、生きていく術を見つけることができました。
新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が下された今、まさにベストとは言えないコンディションではあるけれど、いろいろなことに不満を持ったり傷つくよりも、あの明石家さんまさんが言ったように「生きてるだけでまるもうけ!」のような精神でこの苦境を乗り越えていくのも一つの手ではないでしょうか。
医療介護業界において、緊迫した状況が報じられております。弊社スタッフも大きな動揺の中にありますが、目の前の利用者のために逃げずに真摯に向き合っている姿が見られます。一人一人のスタッフが地域生活支援の担い手であるということへの自覚が芽生えているようで、とても心強いです。また、ご家族並びに関係者の皆様より数々のねぎらいを頂戴し深く感謝いたします。
*1ウイルスは、「それ自身が十分な代謝系をもたないため、宿主細胞がなくては自立増殖することができない」ため、生物か非生物かについて主張が分かれている。